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自律神経系
交感神経系
交感神経系(こうかんしんけいけい、英SNS:Sympathetic nervous system)とは自律神経系の一つ。 「闘争と逃走の神経(英語ではFight and Flight)」などとも呼ばれるように、激しい活動を行っている時に活性化する。
機構
伝達物質
アドレナリン、ノルアドレナリン
受容体
α受容体(α1、α2)、β受容体(β1、β2、β3)
心臓
β1受容体
洞房結節→心拍数↑
心房→収縮、伝導速度↑
房室結節→自動能、伝導速度↑
ヒス束・プルキンエ線維→自動能、伝導速度↑
心室→収縮、伝導速度↑
細動脈
α受容体
冠動脈→収縮
皮膚・粘膜→収縮
骨格筋→収縮
β2受容体
冠動脈→拡張
骨格筋→拡張
肺
β2受容体
気管支筋→弛緩
腎臓
β受容体
傍糸球体細胞→レニン分泌↑
α受容体
尿細管→Na再吸収↑
脂肪細胞
β3受容体
脂肪分解、燃焼
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臓器に対する効果
眼(T1〜T2)
瞳孔→散大
毛様体筋→収縮
唾液腺(T1〜T2)→粘液性の液を分泌
心臓(T1〜T5)→血圧↑、心拍数↑(但しノルアドレナリン外部投与では血管収縮による圧受容反射で↓)、心収縮力↑、房室結節伝導時間延長短縮、電気的興奮性↑
血管(いくつかの外分泌腺の血管、いくつかの外性器の血管)→収縮
冠状動脈→拡張
気道・肺(T2〜T7)
気管支平滑筋→弛緩
肝臓(T5〜T10)→グリコーゲン分解
脾臓(T5〜T12)→血管収縮(α受容体)、血管弛緩(β受容体)
胃腸管(T6〜L1)
胃→平滑筋弛緩、括約筋収縮、胃活動↑、胃蠕動運動↓、胃液分泌↓
腸管→平滑筋弛緩、括約筋収縮
副腎髄質(T10〜L2)→カテコールアミン分泌
腎臓(T11〜L1)→レニン分泌
膀胱(T12〜L4)→膀胱三角収縮、括約筋収縮、排尿筋弛緩
膵臓(T6〜T10)→膵液分泌↓、インスリン分泌↓
腸
小腸→運動↓、平滑筋弛緩、括約筋収縮、腸液分泌↓
直腸(T11〜L4)→平滑筋弛緩、括約筋収縮
胆嚢・胆管→弛緩
生殖器(T10〜L4)→射精
皮膚
汗腺→発汗
立毛筋→収縮
骨格筋動脈→収縮
血管(骨格筋内)→拡張(循環アドレナリンの作用)
一部の血管→収縮
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副交感神経系
副交感神経系(ふくこうかんしんけいけい、(PNS:Parasympathetic nervous system)は、自律神経系の一部を構成する神経系であり、コリン作用性である。
副交感神経は遠心性の自律神経であり、臓器近傍あるいは臓器内に存在する神経節を隔てて大きく節前線維と節後線維に分けられる。 節前線維・節後線維ともに末端部から神経伝達物質としてアセチルコリンを放出することからコリン作用性神経と呼ばれる。
機構
神経伝達物質
アセチルコリン
受容体
ムスカリン受容体(M1、M2、M3)
アセチルコリンの再利用
シナプス間隙に放出されたアセチルコリンの一部はコリンエステラーゼによりコリンと酢酸に加水分解される。 コリンは前シナプスに取り込まれた後、神経終末部に存在するコリンアセチルトランスフェラーゼによりアセチルCoAを基質としてアセチルコリンへ再合成される。 その後アセチルコリンは前シナプス中の顆粒に取り込まれ、再びシナプス間隙へ放出される。
臓器に対する効果
眼(T1〜T2)
瞳孔→収縮
毛様体筋→収縮
涙腺(T1〜T3)→分泌
鼻腔腺→分泌
唾液腺(T1〜T2)→漿液性の液を分泌
心臓(T1〜T5)→血圧↓、心拍数↓、心収縮力↓、電気的興奮性↓、房室結節伝導時間延長(ブロック)
血管(いくつかの外分泌腺の血管、いくつかの外性器の血管)→拡張(一過性)
冠状動脈→収縮
気道・肺(T2〜T7)
気管支→気管支平滑筋収縮
気管支腺→分泌
肝臓(T5〜T10)→グリコーゲン合成
胃腸管(T6〜L1)
胃→平滑筋収縮、括約筋弛緩、胃活動↓、蠕動運動↑、胃液分泌↑
腸管→平滑筋収縮
膵臓(T6〜T10)→膵液分泌↑、インスリン分泌↑
腸
小腸→運動↑、括約筋弛緩、腸液分泌↑
直腸(S2〜S4)→平滑筋収縮、括約筋弛緩
胆嚢・胆管→収縮
生殖器(S2〜S4)→勃起
膀胱(S2〜S4)→膀胱三角収縮、括約筋収縮、排尿筋収縮
骨格筋動脈→拡張
血管(骨格筋内)→収縮
一部血管→拡張
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神経伝達物質
神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ、英Neurotransmitter) とはシナプスでシグナル伝達に介在する物質で、神経細胞などに多く存在する。
1960年代からの判断基準によれば、以下のような条件に該当する物質が神経伝達物質と呼ばれている。
シナプス前細胞で合成される。
シナプス後細胞に受容する機構(基本的に受容体)がある。
シナプス前細胞から開口放出後、シナプス後細胞に影響を与えるに十分な量がある。
非常に局所的に作用し、あたかも物質放出がシナプス後細胞内でおこったかのように作用する(内在性放出の模倣)。
放出後に生化学的に不活化するような機構が存在する。
ただし、亜鉛イオンのように、生体内で合成とは言いがたい方法で単離されるもの、一酸化窒素のように細胞膜を透過しシナプス間隙より広い範囲に拡散するものについても神経伝達物質とみなす見方もある。
また、ホルモンも細胞間シグナル伝達に介在する物質であり、特定の分子が開口放出され受容体に結合して作用する点なども同じであるが、神経伝達物質による神経性調節は特定の細胞間で局所的に短時間で作用が及ぶもの、ホルモンによる液性調節は循環器系を通じて拡散し大局的に作用するものとして分類されている。
オピオイドなどは脳内麻薬と呼ばれたことがあり、エンドルフィンという語は「体内」「モルヒネ」の混成語である。 現在これらの物質はヒトの体内で生産され恒常性の維持などに関与していることが分かり、誤解のないよう神経伝達物質と呼ばれている。 むしろ現代風の命名法に従えば、麻薬は神経伝達攪乱物質などと呼ばれただろう。
神経伝達物質やホルモンの標的となる受容体に対し働きかけ、同様の作用を示す物質をアゴニストと呼ぶ。 受容体と結合するが変化を引き起こさず、結果として神経伝達物質やホルモンの働きを阻害する物質をアンタゴニストと呼ぶ。
機序
放出前
神経伝達物質はシナプス前細胞の細胞体で合成され、細胞輸送によって運ばれてくるないしは細胞外から吸収され、前シナプス終末にあるシナプス小胞に貯蔵される。 前シナプス終末に活動電位が到達すると神経伝達物質はシナプス間隙に放出される。
放出後
神経伝達物質はシナプス間隙に放出されると、拡散によって広がり、後シナプス細胞の細胞膜上にある受容体と結びついて活性化される。 受容体がイオンチャネル型の場合そのイオンチャネルが開き、受容体が代謝型であればその後いくつかのステップを経てイオンチャネルを開かせ、後シナプス細胞に脱分極ないし過分極を生じさせる。 放出後は速やかに酵素によって不活性化されるか、または前シナプス終末に再吸収され、一部は再びシナプス小胞に貯蔵され再利用される(元のシナプス小胞に戻るのではなく別のシナプス小胞に充填される)。
分類
神経伝達物質は大きく分類すると以下の3つになる。
アミノ酸(グルタミン酸、γ-アミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシンなど)
ペプチド類(バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシンなど)
モノアミン類(ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ドパミン、セロトニン)とアセチルコリン
その他一酸化窒素、一酸化炭素なども神経伝達物質様の作用を示す。
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神経回路形成
神経回路形成(しんけいかいろけいせい)とは動物の発生期及び成長中に種固有の遺伝的プログラムや環境刺激に従って神経回路を形成していく現象の事。
神経細胞は、シナプスを介して複雑な神経回路を作っている。 神経回路は、脳が働くための基盤であり、どのようにして神経回路ができるかを知ることは、神経発生学の最大問題である。 現在のところ、この問題は全容が解っているわけではないが、いくつかのプロセスが解明されている。
神経回路ができるには、正しく分化した神経細胞が正しい場所に配置され(神経細胞移動)、そこから正しい経路を伸びた神経突起(軸索、樹状突起)が特定の標的と正しく結合する必要がある(軸索誘導、シナプス形成)。 また神経回路発達の最終段階においては、正しくできあがった神経回路を残して、間違った神経回路を除くというステップがある(軸索側枝の除去、軸策剪定、シナプス廃止、細胞死)。 このステップは、学習や記憶などに関わる脳の可塑性と密接に関係している。 神経細胞移動が、遺伝子に支配されたプログラムで行われるのに対し、神経回路形成の最終段階では神経活動といった直接的に遺伝子の影響を受けない因子の影響が大きくなる。
逆行性シグナルによる神経伝達物質形質の制御
化学親和説
神経栄養因子
神経活動
投射地図
運動神経の経路選択
正中線
層特異的神経結合
ショウジョウバエ、線虫、ゼブラフィッシュなどのモデル生物
セフレへの命令系統がある可能性があります。
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